逆流性食道炎は、喘息を引き起こします。その理由は2つあります。

一つ目は、胃から食道へ胃酸が逆流する際に咽頭まで達するので、気管支内に胃酸が吸入されてしまい、吸入された胃酸が気管支の粘膜に刺激を与えて喘息の症状を悪化させます。

2つ目は、食道内に逆流した胃液が、食道にある知覚刺激を刺激し時に、その刺激が気管や気管支の神経にも伝わり、反射的に気管がけいれん性収縮を起こすからです。

逆流性食道炎が喘息の引き金になる?

気管支喘息になった事のない人が、逆流性食道炎から急に本格的な気管支喘息になる事はありません。胃酸の過剰な分泌を抑制できずに放置した場合は、気管支喘息の前段階である咳喘息になる可能性はあります。

そして、咳喘息を放置すると本格的な気管支喘息に3割の人が移行してしまうことがあります。なぜ気管支喘息に移行するのかといいますと、「気道のリモデリング」が起こるからです。

「気道のリモデリング」とは、気管支の炎症が慢性的に続いた結果、気道壁が厚くなって、気管支の内腔がせまくなる現象です。

毎日の気道の炎症治療をおこたっていると、気道がますます敏感になり、発作をくり返すという悪循環におちいります。この悪循環の輪を断ち切らない限り、気道の炎症は悪化する一方です。

発作が起こると、気道はその度に傷を修復しようとします。ところが、傷が治りきらないうちに再び発作が起こると、不完全な状態のまま再生され、内腔が狭まったまま元に戻れなくなってしまします。

咳をしているのに、気道の炎症を抑える治療をせずに放置していると気道がドンドン狭まっていきます。

気道が狭くなると、息苦しくなったり、冷たい空気やタバコの煙や埃や花粉など、ちょっとした刺激に過敏に反応して咳をしたり、気道に違和感を感じるようになります。

気道の炎症の進行を早めに止めておく為にも咳が続いたら、早めに吸入ステロイド薬で治療する必要があります。


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咳喘息と気管支喘息の違い

 咳喘息気管支喘息
喘鳴なしゼーゼー、ヒューヒュー
咳の出る時間帯起きている間夜間~早朝が最もひどい
呼吸困難なしあり
運動時の息切れなしあり
痰のつかえなしあり

咳喘息の特徴

1.喘鳴を伴わない咳が8週間以上続く

通常の風邪であれば咳は長くても2週間で治まりますが、咳喘息ですと8週以上に渡り咳が続きます。風邪は完全に治っていても咳だけがひつこく残ると咳喘息の疑いが出てきます。

医師が聴診器を胸にあてて聞いても呼吸にゼイゼイ、ヒューヒューという音が入らない綺麗な音がします。ゼイゼイ、ヒューヒューの異音が聞こえるくらいまでなっていると本格的な喘息に移行した証拠と言えます。

喘鳴が聞こえる様になると、自分でも喘鳴を自覚するほどです。つまり喘鳴が自分の耳に入ってきます。

2.喘鳴、呼吸困難などを伴う喘息に今までにかかったことがない

咳喘息の段階では、呼吸困難で息苦しくなる様なことはありません。気管支喘息の呼吸困難は、救急医療センターへ急行したり、気管支拡張薬を使うくらいひどいものです。

3.気道が過敏になっている

タバコの煙、電話で話した時、冷たい空気を吸った時など、ちょっとした刺激で咳込みます。

6.気管支拡張薬が有効な場合

気管支粘膜の炎症により、むくみが出て空気が通る度に過敏となりますので、気管支を広げる薬を使うことで一時的に楽になります。

逆流性食道炎から咳喘息を併発した場合は何科?

逆流性食道炎は胃腸の病気で、咳喘息は呼吸器の病気ですので、治療する科は全く異なります。咳喘息の治療は内科でも可能ではありますが、内科医は気管支喘息の専門ではないため、深い知識と対処法を持ち合わせておりません。

それに内科医の医師は咳喘息を軽視している場合もあります。咳喘息をしっかりと治す為には、呼吸器内科が最善となります。逆流性食道炎は消化器内科や胃腸科、咳喘息は呼吸器内科と完全に分けた方が良いです。

咳喘息の診断

咳喘息は、あらゆる検査をしても異常が認められませんので、問診で判断することになります。原因が胃酸によるものかどうかまで断定はできません。

多くの場合は、血液検査でアレルギーがあるかが決め手となりますが、アレルギーも一つの指標に過ぎず確かな原因の特定には至りません。


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咳喘息の治療

逆流した胃液が、のどや気管支を刺激したり、食道の粘膜を通して神経を刺激したりして起こると考えられています。逆流性食道炎の治療を行うと、喘息の症状が改善する場合もあります。

しかしながら、咳を繰り返してきたがゆえに、気道の炎症がある場合は、逆流性食道炎の治療だけでは咳喘息を治すことができません。その場合は、以下の咳喘息の治療も必要になってきます。

吸入ステロイド

咳喘息の治療の大本命は吸入ステロイド薬の吸入です。吸入ステロイド薬は強い抗炎症作用がありますので、気道に炎症が起きている咳喘息には有効となります。

吸入ステロイド薬は、即効性はありません。吸入してからすぐに咳が止まりませんが、吸入を続けていくうちに、ゆっくり、じわじわと気道の炎症を抑えて効き目が現れてきます。

効き目が出るまでの期間は、気道の炎症具合により異なり、早くて3日、遅い人ですと1~2週間ほどかかります。更に炎症が酷い人の場合は、もっと日数がかかります。

気管支拡張薬

咳喘息は気管支が狭くなって咳が出ますので、気管支を広げるために気管支拡張薬を使います。気管支拡張薬については、出さない医師もいます。

これは、吸入ステロイド薬に気管支拡張薬が配合されているタイプのものもあり、それだけで十分と判断する医師もいます。

ロイコトリエン受容体拮抗薬

気道を収縮させたり、炎症を引きおこしたりするロイコトリエンというアレルギー反応によって生じる物質のはたらきを邪魔します。それにより気管支が広がり、また炎症もおさえられます。

咳喘息になったら注意すること

タバコを吸わない、受動喫煙も注意

タバコは気道の炎症を引き起こし、気管支の血管透過性を亢進させることによって、喘息症状を増悪させます。またタバコを吸うと全身の免疫系が活性化されるため、抗原を吸入した時のアレルギー反応が強く起こるようになります。さらにタバコは気道過敏性を亢進させるため、喘息発作が起こりやすくなります。

以上のことから、タバコを吸っていなくてもタバコを吸っている人と一緒にいない事やタバコを吸っている人がいる店などには入らないことです。

お酒を飲まない

お酒を飲むと、体内でアセトアルデヒドと呼ばれる物質が作り出されます。アセトアルデヒドは、気道を収縮させる作用があります。気道が収縮されると、空気の通り道である気道が過敏になり咳が出やすくなります。

お酒と呼吸器が無関係の様に見えて、実際は密接な関わりがあります。

まとめ

咳喘息は、吸入ステロイド薬の吸入、アレルギー薬、気管支拡張薬の3つで毎日治療を続ける事で、コントロールできる病気です。日常生活にほぼ支障の出ないところまでコントロールすることができます。

大事なのは、症状がなくなっても医師の指示通り治療を継続させることです。咳喘息は一度なってしまうと完治が難しい病気です。自己判断で薬を中止して発作を繰り返していくと、気道のリモデリングが進み薬は効き難くなり、肺の機能も低下してしまい日常生活にも支障が出てきてしまいます。

咳喘息が落ち着いて薬を一旦止めて、再発を繰り返す様であれば、咳喘息の治療は継続した方が良いといえます。咳をそのまま放置するのは危険です。