逆流性食道炎

逆流性食道炎は胃カメラでわかる?異常なしの場合の診断は?

逆流性食道炎は胃カメラで分かる?

逆流性食道炎は、胃カメラで分かります。厳密には、確定的な診断となります。胃内視鏡検査(胃カメラ)で食道の粘膜に傷がつき、びらんを形成しているということは、胃液が上がってきていることを意味するからです。

胃液は、食物を消化するために強い酸性の胃酸や消化酵素を含んでおり、強い刺激性があります。粘膜によって保護されている胃と違い、食道は胃液に対する抵抗力が弱いため、健康な状態では、食道が胃液で傷つかないように、胃液が食道に逆流しない仕組みが働いています。

その仕組みの役割を担っているのが下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)です。下部食道括約筋は、食道と胃のつなぎ目(噴門部)にある筋肉で、食べた物を飲み込む時には、ゆるんで食道から胃に食べ物が落ちるようにし、それ以外の時は、食道をしめて、胃の内容物が逆流しないようにしています。

この下部食道括約筋も、胃酸が増えすぎることで、胃液や胃の内容物が逆流して、食道の粘膜の炎症を引き起こしてしまうのです。

逆流性食道炎は胃カメラなしで分からない?

胃カメラは逆流性食道炎を断定することができます。胃カメラをしない場合に、逆流性食道炎かどうか分からないかと言えば、分かります。

その理由は、逆流性食道炎の症状は典型的なものであるからです。

問診の段階で医師は「その症状は逆流性食道炎の可能性が高い」との診断をして、逆流性食道炎の治療薬として胃酸抑制剤を処方します。

その薬を飲んで、症状が治まった、或いは症状が緩和したなど、10割あった症状が2割でも3割でも軽減されれば、逆流性食道炎の可能性が高いとの見方ができます。

胃カメラは義務?

消化器内科の医師としては、何だか分からないのに処方だけし続けるのは気が引けるものがあります。

癌や潰瘍といった重大な病気でないか調べたいことや、ピロリ菌がいるかいないかを調べたいなど、ハッキリさせておきたい部分がありますので、そういう意味では胃カメラは避けて通れないものがあります。

ただ、胃カメラを受けるのは本人であり、最終的には本人の意思により受けるか受けないかは決まります。初診で、胃カメラを推奨されても、即答できず、「もう少し様子をみて考えます」と胃カメラを見送りにするのも自由ではあります。

ただ、症状が長引き、改善の兆しがあまり見られない場合は、一度やはり胃カメラを受けざる得ない状況にはなります。

胃カメラが嫌だから受けないで、重大な病気を見逃して手遅れになることは許されません。未来のためにも胃カメラを受ける決断を迫られることでしょう。

症状が長引けば、胃カメラが嫌という以上に、どうなっているか知りたい気持ちが高まり、診断を明確化させ正確な治療を受けたいという思いは強まります。

逆流性食道炎の診断だけでない胃カメラの意味

胃カメラを一度もしたことのない人は、医師としてもピロリ菌がいるかいないかハッキリさせたいところでしょう。

胃がんとピロリ菌は密接に関係しているといわれています。ピロリ菌の感染が長期間にわたって持続すると、胃の粘膜がうすくやせてしまう「萎縮」が進行し、一部は腸上皮化生となり、胃がんを引き起こしやすい状態をつくりだします。

もしピロリ菌が見つかった場合は除菌をしておくことで、新しい胃がんが発生する確率を減らすことができる可能性があります。それは、将来的に胃がんになるリスクを軽減できるということです。

現状の病気を明確化させるだけでなく、ピロリ菌がいるかいないかもチェックする一石二鳥な意味もあります。

胃カメラが異常なしの場合はどうなる?

胃カメラを受けて、食道や胃の炎症は見られず、ピロリ菌もいない、異常なしの場合はとりあえず一安心です。ただ、異常なしだからといって、逆流性食道炎ではないかと言えば違います。

異常がなくても、逆流性食道炎の症状がある限りは、何の病気でもないということはあり得ません。よって、異常なしでも逆流性食道炎の治療は継続します。

胃カメラというのは、1回では分からないものがあり、その時は異常がなくても1年後再検査したら食道に炎症が見つかるなんてことはあり得ます。

それは、胃酸が上がる状態が長引くことで、食道の炎症が徐々に悪化していくケースもあるので、症状があるうちは油断ができないものです。

胃カメラ異常なし、その後の治療は楽観視?

医師の方としては、正式な検査で異常がないのであれば、薬を飲んで次第に回復に向かうだろうとの見方をします。ある意味では楽観的になる面はあります。

ただ、胃カメラで異常がないのに治療が3ヶ月も半年も長引いて大きな変化が見られない場合は、医師としては私生活を疑ってきます。

胃酸抑制剤は、胃酸を抑える役割を担うだけです。あとは本人次第となってきます。

つまり外部要因ですね。極端な例でいえば、ガッツリと食べてすぐに寝るとか、運動もせずに座ってばかりとか、猫背で胃を常に圧迫しているとか、逆流する引き金を作ってしまっている場合は、薬ではカバーしきれないものがありますので、自分の普段の生活が要因で長引いていると考えられます。

その場合、医師としてできるのは、私生活のアドバイスくらいです。ただ医師も患者を複数抱えており、一人に長い時間かけて相談する余裕はありません。

普段の生活を根本から見直し、細部まで注意するのは本人の自覚と役目となってきます。指導される以前の問題として、自ら問題点を洗い出し、一つ一つの見直しと改善を行うことが治療の第一歩となってきます。

胃カメラが全てではない?

胃酸抑制剤を飲んで治療している最中は、胃酸が抑えられているわけですから、食道の炎症の引き金となる胃酸が悪さをしていない状態でもありますので、そういう時に胃カメラをしても、やはり正確な検査になってない面があります。

胃カメラ検査の食道画像を見た医師は、「薬で抑えられているか分からないが食道は綺麗で異常はないね」ということを言いました。

胃酸の上がり方も日々、波があり、1回の検査だけでは分からないものがあるということで、症状が続いている場合は、やはり定期的な胃カメラ検査をしておいた方が安心でしょう。